舞台はどこかノスタルジックな日本の地方中核都市。おんぼろアパート阿漕荘に住む探偵の保呂草潤平は、ひょんなことからとある女性の身辺警護を請け負う。彼女は近所に建つ和洋折衷の大邸宅「鴎鳴六画邸」の現当主であり、何者かに命を狙われている可能性が…

幼いころからつづいた両親の不和で心に傷を負った青年クリス・マッカンドレスは、大学を卒業してすぐに家族から消息を絶ってアメリカ全土をめぐる旅に出発し、二年間の放浪を通じて社会の片隅に生きる様々な人間と出会い、最後に向かったアラスカで不慮の事…

主人公は四十歳の男で、二十年のあいだ地下室に住み、そこで病的な自意識と無益な格闘をつづけている。物語はこの男がある日試みに書き残した手記という体裁である。前半では長年男を苦しめている心理状態とそれに対する男の長々しい意見が、後半では男を地…

西洋哲学の基礎には古代ギリシアの思想とヘブライの信仰があり、まずはこの二つの基本的性格をおさえることが肝要である。そこで本書の三分の二は古代ギリシア哲学とユダヤ教・キリスト教への入門編に割かれ、その後の西洋思想の展開は後半にかいつまんで解…